広島大学
ダイバーシティ&インクルージョン推進機構
The Institute for Diversity & Inclusion, Hiroshima University

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「ダイバーシティ&インクルージョン推進機構設置記念式典・設置記念講演会・国立特別支援教育総合研究所との共同シンポジウム」
を開催しました

 2024年3月24日、広島大学ダイバーシティ&インクルージョン推進機構の設置を記念し、国内外でウェルビーイングに関する教育・研究に携わる専門家が集結し、日本が持続可能な成長を実現し、多様性を認め合い、より豊かで調和のとれた社会を構築するための在り方について、ウェルビーイングの概念を中心に議論し、新たなアイデアと取り組みを共有・模索するという趣旨のもと「ダイバーシティ&インクルージョン推進機構設置記念式典・設置記念講演会・国立特別支援教育総合研究所との共同シンポジウム」を開催しました。

 第一部の記念式典において、越智光夫学長は「当機構の設置により、多様な人々が生きやすい社会や環境の在り方に関する教育研究を推進し、人々の健康と幸福感の向上を図るとともに、より良い学習・労働環境を提供するための方策を検討し、個人と社会の双方におけるウェルビーイングの向上に寄与していくことができるものと確信している。今後も広島大学に対してご支援をお願いしたい」とご挨拶しました(動画メッセージ)。続いて、来賓挨拶において国立特別支援教育総合研究所 中村信一理事長から「広島大学と本研究所が連携し、西日本の研修・共同研究の拠点として、広島から国内外に特別支援教育やインクルーシブ教育の重要性を発信していくことを使命とし、取組を進めていく」とメッセージをいただきました。機構紹介では、鈴木由美子機構長より「D&I教育と研究のグローバルハブとして、私たちのミッションは、さまざまな分野を無理なく統合し、D&Iの取り組みを進めることであり、包括的なマインドを育てるための堅固な人材育成システムを確立することである」と紹介されました。

 第二部の基調講演では、ハーバード大学T・H・チャン公衆衛生大学院 K. Vish Viswanath教授から「Communication, social connections and well-being」と題し、ウェルビーイングとは何かを考える上で、「個人の幸福」だけではなく、社会的関係を重視した「集団的幸福」が現代においては重要であるという観点で、デジタル技術やソーシャルメディアとウェルビーイングの関係性についてご講演をいただきました。

 第三部の共同シンポジウムでは、まず国立特別支援教育総合研究所 中村信一 理事長より、「本日のシンポジウムが、ウェルビーイングの理念を踏まえ、日本が持続可能な成長を実現し、多様性を認め合い、より豊かで調和のとれた社会を構築するための在り方について、広島から発信できることを期待している」とご挨拶いただきました。続いて、来賓挨拶において文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 石田善顕 課長は「教育学分野の研究を先導する広島大学と共に、我が国唯一の特別支援教育のナショナルセンターである、国立特別支援教育総合研究所が、都市部と過疎地域の双方を有する西日本からウェルビーイングについて考えることは、今後、共生社会の実現に向けた特別支援教育の推進に大きく貢献するものと考えている」と期待を示されました。

 共同シンポジウムでは、5人の登壇者が順に発表を行いました。まずハーバード大学T・H・チャン公衆衛生大学院 K. Vish Viswanath教授は「Communication, social connections and well-being: Implications for Translation」というタイトルで、「伝達(translation)」という観点から、集団および個人間の情報格差、データ収集の代表性、科学研究が実践に反映されるまでに生じる時差について問題を指摘しました。

 次に、ヘルシンキ大学社会科学部 Antti M. Kauppinen教授は「Fairness, Equality, and Well-Being: A Finnish Perspective」と題して、北欧諸国の主観的ウェルビーイングが相対的に高い理由を公平性仮説に基づいて説明し、平均的な⽣活満⾜度の⾼さは、制度によって公平さが保障されている社会の副産物である可能性を提示しました。

 国立特別支援教育総合研究所発達障害教育推進センター 棟方哲弥 上席総括研究員は「Development of Inclusive Education System and Well-Being〜From the Perspective of Special Needs Education〜」というタイトルで、特別支援教育にエージェンシーとウェルビーイングの概念を導入することを提案し、コミュニティのメンバーがエージェンシー感を持つことで、結束力のある社会が実現されることを示唆しました。

 タイ・バンコク・ユネスコ地域事務局コミュニケーション&インフォメーション Joe Hironaka 担当アドバイザーからは「Hiroshima Symposium on Building the Future of Well-being through Diversity & Inclusion」として、精神的健康やウェルビーイングに関連する理念やUNESCOの具体的な取り組み事例を紹介していただきました。

 叡啓大学ソーシャルシステムデザイン学部  保井俊之 学部長・教授には「Wellbeing Tech: System Design to Enhance Social Wellbeing」と題して、ウェルビーイング・テクノロジーとウェルビーイング中心デザインについてご提案いただき、それらの導入が個人と社会の主観的ウェルビーイングの向上に寄与することのご示唆をいただきました。

 当日は悪天候にもかかわらず、ウェルビーイングに関心を持つ学生・研究者、政府関係者、一般市民の方などを含め約160人の皆様にご参集いただき、盛況のうちに終えることができました。ご参加いただいた皆様に深く感謝申し上げます。また、今後もダイバーシティ&インクルージョン、特別支援教育、ウェルビーイングに関する教育研究の推進に努めてまいりますので皆様のご支援とご理解を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

越智学長 ビデオ挨拶
集合写真
国立特別支援教育総合研究所
中村信一理事長
ダイバーシティ&インクルージョン推進機構
鈴木由美子機構長
ハーバード大学T・H・チャン公衆衛生大学院 
K. Vish Viswanath教授
文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 
石田善顕 課長
ヘルシンキ大学社会科学部
Antti M. Kauppinen教授
国立特別支援教育総合研究所
発達障害教育推進センター
棟方哲弥 上席総括研究員
タイ・バンコク・ユネスコ地域事務局
コミュニケーション&インフォメーション
Joe Hironaka 担当アドバイザー
叡啓大学ソーシャルシステムデザイン学部
保井俊之 学部長・教授
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